10年止まった除夜の鐘復活プロジェクト!

8月に移住して以来毎朝通ったお寺がある。トイレの神様として知られている「明徳寺」というお寺だ。さとあやは何となくこのお寺と移住早々に繋がり、何となく毎日のお掃除に参加することにした。通う中で何気なく聞いたのが除夜の鐘のことだったのだが…。今日はそんな除夜の鐘プロジェクトのお話!

トイレの神様 明徳寺って?

静岡県伊豆市にある非常にユニークなお寺です!下記説明文ですが、男性器と女性器をさすり、雪隠(せっちん。木製の昔の便器)があってまたいでお詣りします。しもの病気にならないようにと願いをささげる神様がいるのです。

現在では「トイレの神様」として親しまれる明徳寺。明徳年間に利山忠益禅師により建立された禅宗(曹洞宗)の寺。東司(便所)の守護神「烏瑟沙摩明王(うすさまみょうおう)」をまつり、シモの病にご利益があるとして全国的な信仰を集めています。この明徳寺の参拝方法がユニークで、「おまたぎ」、「おさすり」というお参りをします。雪隠(せっちん。便器のこと)をまたいで、シモの病気(失禁など)にならないように祈り、天然の木や石で出来た男性器・女性器の象徴をさすって年をとってもシモのお世話にならないように、健康を祈ります。シモの病気や子供のおねしょで悩んでいる方、子宝祈願などのご利益も。明徳寺には、鳥枢沙摩明王の他に、慈母観世音菩薩、ぼけ封じ観音、招福大黒天もお祀りされていますので、水子供養、ぼけ防止、財運の祈願にも。毎年8月29日に行われる『東司まつり』は、伊豆3大奇祭と言われています。相撲大会、打ち上げ花火など賑わいます。

伊豆市観光情報サイトhttp://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2501

さとあやは移住前から思っていた1つに、近くの神社仏閣どこでもいいから朝のお掃除に参加したいなって思っていたのです。とにかく地元の人と密着して中に入り込んで溶け込みたかった。それなら朝の掃除だろう!!と。(何でそう思ったんだ?)で、引っ越し先から一番近い住職さんがいる場所がたまたま明徳寺だったんです。

んでもって毎日ものすごく早く目が覚めるので「今日も行こう」「今日も行こう」と毎日通い続ける場所になっていました。掃除に参加と言っても、毎日いるのは方丈さん(曹洞宗では住職さんのことを方丈さんという)と奥様。そこにさとあやだったり、たまにご近所の方が一緒に掃除をする。

というわけで人生初めての一輪車はここ・明徳寺!

そういえば除夜の鐘ってどうなってるんだろう?

毎朝掃除する境内のど真ん中にある鐘。毎日そこにある鐘。連想したのは除夜の鐘であった。ある朝方丈さんに何気なく質問した。

さとあや

そういえば除夜の鐘ってどうしてるんですか?

方丈さん

撞いてないよ。(サラリ)

さとあや

え?!?!??!??!

まさかの「撞いてない」という回答。さとあやが期待していたのは、大晦日の○時位に集まって、みんなで撞くよというイベントのイメージでいたのだ。まさか撞くことすら辞めてるとは想像だにしない。さとあやは知らなかった。この世に除夜の鐘を撞かないお寺があるなんて…(それくらい除夜の鐘をテレビでしかみていないということである。)

その日は軽めのショックを受けながら「そうなんですかー」、と簡単なやりとりで終わったのですが、さとあやの中で「除夜の鐘をついてない問題」はまるで魚の小骨が喉にひっかかったみたいに気になる存在になっていったのでした。

気になりすぎる止まった除夜の鐘

ちなみに毎日の鐘は鳴っている。「自動的に」。これまたビックリしたのだが機械が時間通りに鐘を撞いてくれる仕様になっている。だから時間を告げる役割は果たしているこの鐘なのですが、何だかさとあやはこの鐘が寂しそうだなぁと思うのであった。

しばらくして改めて方丈さんに聞いてみた。

さとあや

除夜の鐘いつからついてないんですか?

方丈さん

5年くらいかなぁ~???

さとあや

あ、そうなんですね!それまでは撞いてたんだ!!!

除夜の鐘って…文化だよなぁ…この土地にとって大事なものだよなぁ…もちろんこのお寺にとっても…

モヤモヤ モヤモヤ モヤモヤ モヤモヤ モヤモヤ モヤモヤ モヤモヤ !

さとあや

…それでは除夜の鐘復活させませんか?!誰もいなければさとあやが108回撞きます!!!どうでしょうか!!!!!!!

方丈さん

え・・・えぇ?!(困惑)

その後お掃除に行くたびに何となくその話をすること数回。言っていると自分に対して現実味を帯びてくる。現実味を帯びてくるともう少し仲間が欲しいなと思うさとあやなのであった。

一緒に除夜の鐘イベントやってくれないかな?

移住してきたばかりのさとあや。一応これでもイベントを1人でやるのは心細かった。この土地で既に人を集めてこれるちょっと若めの団体と組みたいなと思った。そこで伊豆市民の仲間に話を持ち掛けた。その子は「いいねー!」と言ってくれて、とある団体の長のところに連れて行ってくれたのだが…

残念だけど思うような話にはならなかった。

若者の団体長

お寺さんにとっては檀家さんが一番大切だから、檀家さん達に聞いた上で「やらないよ」というのであれば次にこの団体に話を持ってくるほうが筋だと思うんだよね

さとあや

なんと…。そんな世界が広がっているんですね…。わかりました。出直してきます!

さとあやは「ダンカサン」というのにも馴染みがなかったので、「そういうもんなんだ(;´∀`)…?」とその世界を一生懸命見よう見ようとしたのでした。

※ちなみに檀家さんとはお布施などで支援しているみなさまのことです。

【翌日】早速方丈さんに聞いてみました。

さとあや

若者の団体さんからこのように意見をもらったのですが、ダンカサンたちにお話して一緒にイベントを展開するのはどうでしょう?

方丈さん

いや~それはやりたくないなぁ。役割になっちゃうと仕事みたいになっちゃうから。。。

さとあや

あ~…なるほど。(それはわかるなぁ…仕事みたいになってほしくないもんなぁ…)

ちょっと心に隙間風(笑):(;゙゚’ω゚’):サムィー

あれ…もしかして…あたし…1人…?

そのまましばらくこのイベントを寝かしたさとあやであった。(笑)

気づいたら11月!!!除夜の鐘が遠くで聞こえる(妄想)

いかん!!

いかんいかんいか―――――――ん!!!!!!!

除夜の鐘プロジェクトを動かさねば!!!忙しさにかまけて、一緒にやってくれる人がいないといじけてる場合じゃない!!何しに伊豆市に来たんだお前は!!!!目を醒ませええええええ(# ゚Д゚)←うるさい

というわけで、決めた。決めたよ。

さとあや1人でやるよ。さとあやと明徳寺とやるよ。まずはそこからだ。

だいたいさとあやよ、甘いよ。1人で出来る範囲で何か成功できなければ他と一緒にやれるなんてできるわけないだろう!!!たわけ!!!(# ゚Д゚)←1人ツッコミ

はい、というわけで腹をくくりましたので、早速動き始めます。

打ち合わせ!そして告知準備!

当日のざっくりの流れを打ち合わせ。告知方法は基本的にはFacebookのイベントページにしました。他のSNSには当日お越しくださいという連絡を流しました(※Facebook予約者優先って一応書いておきました。108人は来ないだろうと思っていたので)

Facebookのイベントページはこんな感じにしました!

そしてこの打ち合わせで新たに判明したことが…!!!!

除夜の鐘は実は10年ぶりの復活だということだ…!!思っていた倍止まってるーーーー!!!。・゚・(ノД`)・゚・。

10年前に方丈さんのお父様が亡くなられたのが12月。そこからバタバタして何となく辞めて数年、それが続き気づいたら10年も撞いていない。区切りとしても絶対やらなきゃいけない!!さとあやさらに気合がはいる。

そして今回のイベントは方丈さんの体力のことと何よりも、さとあやが全ての世代に来てほしいという願いもあいまって、通常夜開催の除夜の鐘を昼間の13時から撞くイベントとなりました。

告知はどこに出した?

気になる方もいると思うのでどんな感じで展開したかも記載しておきます!

  • さとあやの人脈(各種SNSと直接連絡)
  • 伊豆市地域おこし協力隊のFacebook
  • 湯ヶ島地区地域づくり協議会Facebook
  • FMIS(エフエムイズ)ラジオ番組内告知

この後新聞社さんにも連絡して、取材に来てくれたのが伊豆日日新聞さんでした。

そして12月29日に伊豆日日新聞さんのなんと1面に掲載頂く!WAO!!!!

  • 日日新聞一面!

👆こちらが追加となりました!

方丈さんはこちらをカラーコピーして境内に「除夜の鐘イベント」告知を作って貼ってくれていました!ありがたい!!素晴らしい!!!。・゚・(ノД`)・゚・。

除夜の鐘前日準備!

何だかんだで仲間が色々と来てくれるのと、Facebookからの予約で20人の参加者は確定。さとあやが108回撞くことはなくなったと内心ほっとしておりました(笑)日日新聞の一面にも載せてもらったし30人来れば御の字だなぁと思って、前日に準備を進めておりました。

明徳寺の鐘は珍しい設計になっていて、鐘の下は通り抜けられる建築物です。鐘撞き堂には梯子のような階段をひっかけて上へ行きます。お堂にあがる際に、ちょうど鐘を撞く棒が、頭にゴーンとぶつかる位置にあるので、「頭上注意」の看板を作る必要があります。

それ以外にも今回は、明徳寺さんが生姜入りの甘酒をふるまってくれるのでその張り紙も。

さらには明徳観光センターさんが、大晦日はお休みの日にもかかわらず、草餅をふるまってくれることになったので、草餅のチケットも作ることにしました。

仲間がデザインしてくれた!最高!!!ラミネート加工してこれで雨が来たって大丈夫!来年以降も使うぞ!!

ドキドキの当日!一体何人が除夜の鐘を撞きに…?

11時半に家を出発して仲間たちと明徳寺へ!それぞれの役割についていきます。

  • 消毒液と梯子階段を上る注意担当
  • 撮影担当
  • 甘酒担当
  • 草餅チケット&上がってください指示担当
  • 鐘撞き指導&鐘撞きカウント(上)
  • 鐘撞きカウント(下)&時刻管理担当
  • 行列整理

こんな感じの役割でいざ実行!!!!

1回目は方丈さんが撞きます!

「30秒前!」

13時を前にカウントダウンがはじまります。5秒前の合図で、境内は風もやみ、しーんとなりました。

そこで方丈さんが一回目を撞きます。

ゴ―――――――― ン‥‥‥

鐘を撞いた後余韻が40秒ほど続くのですが、その余韻の間に「家内安全」「夫婦円満」などなどご自身の望みを願います。

方丈さん曰く、鐘を撞くとすぐ目の前の山に音がぶつかって、真逆の方へ音が飛んでいくのだそうです。音は目に見えないのに、まるで見えているように体験します。

しばらくすると余韻が消え、15分ほど既に待っている方を1人1人鐘撞き堂にお呼びして撞いていきます。

鐘撞き堂は狭いのでいっぺんにあがれるのは5人までとしていたので、大人は1人1人。ご家族は1家族ごとお呼びします。ビックリしたのは下を見たら10人以上列を作っています。周りも含めたら20人弱いる感じです。すごい!来てくれている!

当日は快晴!雨降らずほんとよかった!

ちなみに数がわからなくなるので、鐘が撞かれるたびに、方丈さんの用意してくれた英単語長に書かれた数字をめくる仕組みでカウントしていきます。来年の参考にするために、下ではカウントともに何分経過かも計ってもらいました。

さとあやは上にいて、鐘を撞く人に指導させてもらいました。鐘を撞くと反動で連打してしまうことがあるということで、撞いたらちょっと後ろに引くということと、余韻中にお願い事をお伝えしました。

たくさんの方が鐘撞き堂に来ると話しかけてくださいました。

  • 新聞見てきました!がんばって!!
  • 旅館の方に教えてもらってきました!
  • 地元なのに初めてつくよおお。
  • いつもおばあちゃんの面倒みてくれてありがとうございます!
  • 心配で見に来たよ(笑)
  • SNSで見てきました!!
  • 地域おこし協力隊の佐藤さんってあなた?がんばってね!
  • さとあや!ひさしぶりーーー!!!

次に次に鐘撞き堂にあがっては鐘を撞いてお願いをして下がって行く。人がお願い事をする姿をこんなに間近に見ることはなかなか稀でそれも貴重な経験だなとしみじみ思った。願いごとをする姿勢に人生が滲み出ているなぁと。小さなお子様連れで来てくださる方も多くてそれも感動だった。

107人目に撞いてもらったらその方が最後だった。最後の108打目をさとあやが撞かせてもらうことにした。「それではこちらで最後です!」お知らせしてから…

ゴ―――――――― ン‥‥‥

しゅうりょーーうう!!!!!

みんな寒そうだけど笑顔で、ワッと歓声、そして拍手があがりました。みんなありがとう!地元の人外の人様々な人が喜ぶイベントになった!何よりも10年ぶりに除夜の鐘が復活した!

10年前に他界された方丈さんのお父様も喜んでくれてることだろう!

最後に方丈さんが「満足だ」って、みんなの前で静かに言葉したことがとっても印象的でした。

その静けさに満足がぎゅうぎゅうに詰まっていて、とっても暖かい気持ちになりました。

はじまりはここから。継続の価値。

復活させたことは大きなことだった。本当の勝負はここから。継続するということは本当に地道だ。関わる人を作り続け、リーダーを次世代に渡していかないと存続しない。それは国やプロジェクトどんなものでも同じだ。未来を見据え、この土地の1つ1つの文化に光を灯し、次世代に繋いでいく。そのためにできることは何でもやる。それが地域おこし協力隊の1つの役割だって思ってます!!!

Special thanks

方丈さん、みつよさん、つちやさん、かずよさん、まちゃさん、きのぴー、あさな、ゆーちゃん、やまちか、ともひろ、みずぐちさん、おかあさん、そしてこのイベントに参加してくれた全ての人たち。遠くからこのイベントの成功を願ってくれていた人たち。みんなみんなありがとう。

投稿者プロフィール

さとあや
さとあや
「すべての人に、ふるさとを。」
東京生まれ、東京育ち。楽天に入社し後半の5年間は「楽天トラベル」に所属。伊豆を担当した中でも「天城湯ヶ島」というエリアに恋をした人。東京からの移住に取り組むこと半年、伊豆市地域おこし協力隊に合格。そして7か月目ついに移住できる古民家に出会いました。天城湯ヶ島への想いと古民家プロジェクトを中心に綴ります。