町のお祭りから得られた喜びとヒント(明徳寺 東司まつり)

夏祭りの時期が終わった。
こんなにも祭りについて考えた年はなかった。
子供のころから幸せな時代にいたのだろう。
家庭は裕福ではなかったが、それでも時代が裕福だったことからの恩恵がたくさんあったことに、この歳になって気づかされたそういう夏だった。

以前記載したのは2023年8月11日に行った「天城湯ヶ島2023」だったのだけど、天城湯ヶ島エリアにはもう1つ夏の風物詩と言われる夏まつりが今年最後に待っていた。(もう1つあったようだが、その祭りはどうやらやめてしまったようだ)地域創生、地域再生、地域振興っていったい何だろう?

形を変えるおまつり

明徳寺というトイレの神様が祀られているお寺が伊豆市市山にある。8月29日は東司まつりが行われる。(東司(とうす)とは厠、昔のトイレのこと)東司まつりといえば誰でも口にするのが「どすこい天城大相撲」通称どすこいと、打ち上げ花火天城連峰太鼓で、「今年はやるの?」と聞かれる3大柱なのだ!がしかし、“どすこい”はコロナ禍を経て活動をしない状態になり、少なくとも今年はやらないことが決定された。打ち上げ花火はやることになったものの、これも時代を感じる話が。これまでずっと打ち上げてきたちょっとした山の上に、高齢化により花火師さんが登れない!ということになり、真逆の場所から打ち上げることになった。

どすこい天城大相撲というのはすごい迫力で大人気で、何人にも「あやちゃん楽しみにしてなよー」と言われていたイベントだった。だからコロナ禍が終わって見れなかったのは大変たいへんタイヘン残念だった。

で、その大相撲の時間がぽっかり空くわけで、何かできないか?相談をもらった。「天城湯ヶ島大盆踊り大会」で行う盆踊りを明徳寺でもやってくれないかというお願いで、出前(?)盆踊りを実施する運びとなって、8/29夏を締めくくるように踊り納めをしてきたのでした。プラス以前に修善寺のTutty CafeさんでLIVEをしていた15歳の市川莉音(りお)さんにもお願いして、アコースティックLIVEをやってもらうことにした。

さらにもう一つ。これまで長いことお願いしてきたテキヤさん問題。明徳寺の参道を懐かしの屋台がズラリと軒を連ねて、それはそれは賑やかしいと聞いていたのだが…なんとこれも事情あり、出られないことに。
屋台の代わりに境内にキッチンカーや観光協会が出店を出すこととなった。

周りの人に期待されているお祭り

この日、朝から方丈さん(曹洞宗では住職をこう呼ぶ)大活躍のご祈祷が行われる。キッチンカーや出し物が動き出すのは18時だったが、祭りは朝からスタートを切っているのです。

さとあやは浴衣に着替える前に駐車場の場所をチェックしに行ったら、お札を求める人や、ご祈祷に来る方、お参りをする方で、パラパラと断続的に人が境内を歩いている、そんな感じだった。スタッフのおじさまたちは、ずいぶん早くからいるのだろうという寛ぎ具合で、すでに一仕事終えたように様々な場所についていた。

ご祈祷はコロナ禍もやっていたのだけど、花火や太鼓は4年ぶり。スタッフの方の動きや、足を運ぶお客様を見ているとこの祭りが近所のみならず様々な人から期待されている歴史ある大事な祭りなのだと肌で感じるのでした。

イベントをつくることから生まれること

ところで今回、お祭りの出店者が決まったと思っていた時に、もうひとつ出店させてもらえないか?という話が人づてに来た。親子ラーメンのよやさんと言って、河津に移住して親子で頑張っている屋台ラーメンだった。

さとあやはこれまたTuttyCafeさんで何度か食べていて、ファンだった。さすがにもうギリギリかなと思ったら、なんとチラシ入稿ギリギリ前で、見事出店できることになった。何せこの辺りはラーメン屋さんがない。そういう意味では普段ラーメンを気軽に食べられない人にも楽しんで欲しいと思った。

当日18時前、結構な人が集まり始めていたので、時間前に盆踊りを始めることにして踊り始めた。境内は割と狭めなところに、

  • 修善寺バーガー
  • クレープ
  • 焼きそば(ビールとソーセージ、さばの燻製もあった!!)
  • たこ焼き
  • かき氷
  • マスの塩焼き
  • ラーメン
  • 似顔絵コーナー

これだけの出店があり真ん中の鐘つき堂で盆踊り。人が途中からは結構いて、あのようなこじんまりした境内だったからこその特別感のある賑わいが作り出されていた。(コロナの前は下の道に屋台があったので、会場に相当する範囲がずいぶんと広かったということになる)

夕暮れ時。予定の18時より早めに盆踊りスタート。
さとあやの足元はスニーカーです(笑)

お客さんたちはみんながみんなは踊らない。でも、周りから盆踊りを眺めている人たちの表情は「このお祭りがあってよかった」っていう顔で踊り手を見てくれていて、この風景を作り出せること自体が何人もの人たちを心から元気にするひとつの要素だって強く感じた。出店はどこも大混雑。ほとんどが売り切れとなっていた。飲食のみなさんは暑さとの闘い、本当にありがたい。

天城連峰太鼓の演奏も、打ち上げ花火も、それぞれが夏の最後に、ふるさとを感じたり、切なさを感じたり、ありがとうって言ってみたり、素晴らしい時間になったことが誰の表情を見てもあきらかで、それを見てわたしは幸せな気持ちになった。このお役目を振ってもらえてよかったなって心から思ったのでした。

市川莉音さんアコースティックライブ。英語での歌がかっこいいー!
親子屋台ラーメンよやさん。消防車を改造して赤ちょうちんぶらさげて頑張ってます!
天城連峰太鼓の演奏は立ち見で大混雑。とっても人気ですね。

さて、親子ラーメンよやさんですが、相変わらず美味しかったので、次なる私の構想は、このラーメン屋さんがなくなってしまった天城湯ヶ島エリアに定期的に出店する機会と場所を作り出せたらいいなって思っています。もちろん店舗がこの土地に構えられて、いつでも天城湯ヶ島にある飲食店ができることが最高の理想の状態だけど、それには人やコストや時間がかかる。であれば、まずは食べられる場所と日時があって、そこに人が集まることを作り出せたら、環境や状況も変わっていくきっかけになるかもしれない。

できることからコツコツと。

今回のイベントでもらったアイデアは、このお祭り善意から関わる人たちが繋げてくれて出てきたもの。これをまたこの地域に還元することが出来たら、とっても嬉しい、そんなことを思っています。

レンズが湿気でおかしいけど・・・花火とよやさん(笑)

投稿者プロフィール

さとあや
さとあや
「すべての人に、ふるさとを。」
東京生まれ、東京育ち。楽天に入社し後半の5年間は「楽天トラベル」に所属。伊豆を担当した中でも「天城湯ヶ島」というエリアに恋をした人。東京からの移住に取り組むこと半年、伊豆市地域おこし協力隊に合格。そして7か月目ついに移住できる古民家に出会いました。天城湯ヶ島への想いと古民家プロジェクトを中心に綴ります。