環境を変えると自分が変わる実験【料理編】
移住して半年。料理を全くしない女の行く末。
料理は基本的に好きじゃない。一番の理由を挙げろと言われたら「めんどくさい」に尽きる。
のっけからテンション落ちる内容ですが、まずはめんどくさいを分解してみる。
- 野菜切るのメンドクサイ
- 食器を洗うのメンドクサイ
- 台所が汚れてしまうことが嫌だ(台所片づけるのメンドクサイ)
- 買い物行くのメンドクサイ
誰だお前は、メンドクサイ王国の女王様か。
というくらい、メンドクサイという世界に住んでおります。
だがしかし、女手一つで育ててくれたうちの母は料理が大好きで、コロナ禍だというのに、夢だった家庭料理のお店をオープンしたという人です。(尊敬しかない)
そんな母の元で美味しい料理を食べ続けて育ったので、食べることは大好きで、美味しいものには目がないです。
そんな私にも料理を好きになるタイミングが人生で数回はありました。あまりにパターン化されていて笑ってしまうのですが、
- 小さい頃お母さんの為に作っていた時
- 彼氏の為に料理を作っていた時
この2パターン。
集約してしまえば「誰かの為に作っていた時」で、実際にはパターンは1つという単純なやつでございます。
社会人になってからの16年の食生活
社会人生活16年、高層ビル群が職場でした。そしてその間長らく仕事好き人間。朝から晩まで働きまくりのさとあやの脳内シェアは
- 仕事
- 仕事
- 仕事
- 美味しいものを食べること
- 休みの日思いっきり遊ぶ
- 帰ったら寝たい
- ダイエット
- 美容
- 買い物
でした。
しかも1位と(実質)2位の間にはものすごい開きがあります。仕事が大好きなので、ランチの時間もなるべく短くしたい。でも美味しいもの食べたい。さすればコンビニ弁当は相当なことがない限りは買わない。何が何でも近場の飲食店のなるべく美味しいところで食べる日々でした。
休みともなると美味しいものと共にお酒を呑むことが一番の楽しみで、食べログで検索かけては彼氏や友達、時に1人でお気に入りの店やランキング上位のお店に行く生活。とはいえB級C級グルメも大好き。食べログでは低い点数でも美味しいと感じたところは何度も何度も通うタイプです。
そんな生活ですので、休みの夜はギリギリまでお休みを堪能し、家に帰ってきたら即寝という、家事の「か」の字もない時間軸。毎食の料理はおろか、弁当を作るなんていうのは自分の人生の辞書からは消えかけている状態になっていました。
伊豆への移住がさとあやの料理人生を変える。
どっかの誰かが言った。
「英語を話せるようになりたいなら、外国人の彼氏を作れ」
「英語を話せるようになりたいならあっちに住むといい」
英語を話したいという話題に一度はしたこと・もしくは居合わせたことがあるのではないだろうか?
この「英語を話せるようになりたいんだけど」の問いに対するまっとうな答え。頭ではもっともだということがわかっていながら、実行する人は少ない。(ちなみにさとあやは英語を話したいと思ってはいないけど一番わかりやすい例だなって思い書いてみた。)
熱い想いがある人や、勇敢な人は教えに従いこれを実行に移す。そしてしばらく見ぬ間に簡単なやりとりを英語でやってのけるのだ。だが大抵の普通の人は「それ(まっとうな答え)はわかるけど現実的じゃないでしょ」と言い、英会話教室に通ったり、教材を買うものだ。さらに悪い現実をつきつけることには、多くの人は質問し回答をもらったものの結局のところ色々な理由が並ぶお店を開いて、何もしないで英語を話せないことをひたすら嘆くの人生になるのだった。
話を料理に戻そう。
先ほどのオレンジ色のセリフを料理に置き換えたらどうだろうか。
「料理が上手くなりたい」とか「料理をもっと好きになりたい」という場合も英会話と一緒のパターンがはまるものなのか?
<料理版>
「料理が上手くなりたいなら、食べることが好きな彼氏を作れ」
「料理できるようになりたいならあっちに住むといい」
「料理が上手くなりたいなら、食べ物が食べられる彼氏を作れ」ではあんまりなので、「食べることが好きな彼氏」に変更してあてはめてみた。
さとあやの過去のパターンを見てみると、「美味しい!」って食べてくれる相手がいる、ということが料理を作るエネルギー源だったことは間違いないのだ。
もし今までの彼氏が「食べることに興味ない」や「美味しいとかまずいとかどーでもいい。お腹膨れればいい」っていう人だったら、その時私は全く料理をしなくなってしまったと思う。
さて、今回のさとあやは、彼氏ではなく、後者を経験することになった。
「料理できるようになりたいならあっちに住むといい」
あっちって・・・どっち・・・(笑)
イタリア料理を極めたい人はイタリアに行け、とかならわかるけど、私の場合はそんなものじゃーございません。私のあっちは「伊豆」でした。さらに「あっち」をよーく見てみると
「あっち(飲食店があまりない不便なところ)に住むといい」
だったようです(笑)それについては次に説明します。
天城湯ヶ島という土地が料理の腕向上に向いている理由
さとあやにとっての「あっち」とは「飲食店があまりない」ということだったことが明らかになったところでもう少し因数分解していこうと思う。
さとあやの料理の腕を向上させた理由
※コロナ禍の条件
- 歩ける距離に飲食店がほとんどない(歩いて20分いけば2軒ある)
- コロナ禍で遅くまで飲食店が開いていない
- ご近所の方からお野菜など頂きものがたくさん(種類も量も)
- お酒と夕食はセット(車で送ってくれる人がいなければ外食には行かない)
- コロナ禍で飲み会がない
- お金がない(移住1年目は税金貧乏!(笑))
上記の6項目ですが伊豆と言えども広くて、どこでも当てはまるか?と言われたら、答えは「違う」だ。例えば修善寺や熱海の中心地だったらさとあや的には料理の腕前は向上しなかった可能性があるのです。そう。歩いていける距離に飲食店があったら、腕前向上はあり得ないのです。
とにかく呑んで食べることが好きなので、歩ける距離に飲食店があったら料理を作らずにお酒を呑みに颯爽と飲食店に行ってしまいます!
しかし
“その飲食店への距離を考えたら車移動が必須だし、送ってくれる人もいないし、じゃあ吞めないじゃん!”
ということになればそもそも食べに行きません。どなたかが家まで送ってくれる時は心置きなく外食できますが、コロナ禍で飲み会も自粛傾向でそのような機会もありません。
飲み会自粛傾向の状況も料理の腕前向上にはかなりのインパクト!!!
またご近所の方からお野菜はじめ様々なものを頂くのですが、これも都会にあるような集合住宅が立ち並ぶ場所やアパートのに住んでいたらお野菜などの頂き物は今ほど多くなかったのではないかと思います。
私の住んでいる天城湯ヶ島エリアは一軒家がそこそこに広がり、アパートみたいな建物は市営住宅か宿泊施設の社員寮はありますが、一般の人が住むいわゆるアパートやマンションはありません。
周りの皆さんはまだまだ農業(家庭菜園も含む)をしている方が多く、自身のお野菜を育てています。また土地柄か農家の親戚からたくさんもらったから…なんて理由でおすそ分け頂くこともままあります。
田舎といえども田舎感に開きはあり、「都会と変わらないなぁ」という田舎も少なくないと思います。(トカイナカなんて造語も目にしますよね。)こうしてみると、1~4は天城湯ヶ島くらいの田舎だったので追加されている条件だなと思います。
3か月間は料理の腕前にほとんど変化なしだった。
とはいえ移住して数か月は何だかんだ東京の延長線上の思考回路でした。
変化があったのは4か月目頃だったと思います。
移住1か月目(2021年8月)
全くもって39年間の東京生活の思考回路の状態。引っ越しや古民家のDIYの手伝いに来てくれる人、初めて挨拶しに行く人たちとの食事が続くので外食が多め。もしくは料理を作ってくれる人が家に来てくれていて、さとあやが包丁を握ることのない1か月目であった。お野菜はたくさんもらうという有難い経験は引っ越して数日目からはじまって、この野菜たちを腐らせないで食べきるということは既に気になりはじめていた。
移住2か月目 (2021年9月)
古民家の改修に費用を使い、さらに去年度の収入に対しての税金の重さがのしかかる…。「ちょっと自分で料理しないといけないな…」とぼんやり思いはじめる。まだまだ暑い夏なので、そうめんに薬味を乗せることを楽しんだり、わさびを擦ってわさびご飯を食べたり、お味噌汁作ったりを楽しむ毎日。それ料理とは言えなくない?(笑)な、2か月目。
移住3か月目 (2021年10月)
残暑だが少々涼しくなってきた秋を感じる10月。もらったお野菜をただ煮こむだけのスープに感動する。これも料理と言えるかどうか怪しいが…という日々。白米を炊いて食べる回数が3か月目辺りから急激に増えてきた。「お昼は家に帰って、お味噌汁と納豆食べようかな…」と意識が変わり始めたのもこの頃。
移住4か月目 (2021年11月)
実りの秋。超大量の里芋・サツマイモ・大根・落花生をもらう。夏野菜と違い根菜類はちょっと飽きやすいさとあや。大量消費する為にクックパッド等のレシピサイトを見るようになる。また夜に友達が電話しながら料理教室もどきが開催され、料理している気分になってくる。しかしまだまだ自我はない。
移住5か月目 (2021年12月)
焙煎された珈琲豆を友達からもらう。豆から珈琲を入れたことがなかったのだけど、レトロな家にしたいので手で挽くミルを買う。ここで当たり前のことに意識が芽生える。今まで自分が東京で口にしてきたものは加工されていた、なんてレベルではなく、加工に加工に加工に加工に加工されていたもので、自然の恵みであることを「知っている」だけで、本当に意味では何も知らなかったんだと知る。もちろんこの珈琲豆も収穫され、手が施され、焙煎され、今目の前にあるのだから、想像するにはまだまだ私は遠いところにいるのだが。自分の口にいれる物なのに、作られている過程を気にしてないし、もっと言えば自分の身体いたわることも無いなと思い始める。
さて、この月は中学生以来と思われるお菓子作りにチャレンジするも…悲惨な結果に。
備長炭作ったの?と言われる作品も生まれました。
移住6か月目 (2022年1月)
いきなり料理の価値観や感覚が変わる。
- 「さしすせそ」を教わり思い出す。さらに、「酒・本みりん」はさしすせその前に足される調味料だということを初めて知る。
- レシピを見て「どうしてその順番なのか?」や「その作業がなぜ必要なのか?」が気になり始め、調べるようになってくる。
ここに来て料理の基本知識が一気に溜まる。それによりお肉をブロックで買ってみたり、兼ねてから気になっていた料理に挑戦するようになる。
超ターニングポイントがやってきた!
1月24日、突然連絡があり、伊東沖で獲れたたくさんの真鰯(まいわし)があるので持っていくねと。さとあやの頭の中は何故か既にさばかれていて「じゃあ今日の昼はお刺身だ~🎵」なんて軽い気持ちで考えていたのだけど、もらってびっくり。
丸々ぷりぷりの状態ーーーーーーーーーーー!!!
さて、さとあやは魚を捌いたことがありません…。「誰かにあげてしまおうか…」と真剣に3分程悩みました。ああそうやってまたメンドクサイ王国に戻ってぬくぬくと食べられる範囲で食べようとしている…と猛省し、Twitterで美味しい食べ方を聞きました。皆さん優しくてすぐにおすすめ料理の名前を教えてくれました。教えてもらったらそこに責任を感じ、作ることにしたわけです。
youtubeを見ながら鰯を捌きました。(翌日、鰯は包丁使わずに手で出来るよ。と言われたことはまたビックリしました)で、よかったのは
18匹もあったことです。
- 刺身
- オイルサーディン
- 生姜と醤油と梅干の煮つけ
なんと18匹捌く練習が出来た上に3つの初めての料理にチャレンジできたんです。3種類目はからあげを作る予定だったのですが、目の前のおばあちゃんにもお裾分けを考えたらタイミングに左右されない煮つけだなと。からあげもやってみたかったなぁ。
もし3匹だったら魚を捌くことの苦手意識が取れていたかどうかわかりません。最初の2匹は捌きながらお刺身として食べました。へたっぴこの上なし!でしたが鰯には脂がのっていて、自分でもお刺身を作れるんだということに多少の自信と勇気をもらい感動し、次々と作っていきました。鰯しか経験がないのに、今や鮮魚売り場で魚を買おうかなと見るようになっています。(まだ買ってないけどね)
移住7か月目 (2022年2月)
ふきのとうをもらったところから人生初の天ぷらにチャレンジ。これを機に揚げ物が普通のレシピに加わる。大根の葉っぱの天ぷらがこんなに美味しいなんて!に衝撃を受けた月。そしてかつ丼や親子丼を作る専用の薄い鍋をもらい、丼に凝っている月でもあります。初めての連続は続く。
実験結果。
というわけで全く料理をしない都会暮らし39年の女が、(飲食店がほぼない※コロナ禍影響含む)伊豆に移住したら料理の腕前はどうなるかの実験結果です!
ダララララララ・・・・
ジャンっ!
料理が好きになり、上手になる!
そして副産物として
生理の周期が28日に戻った!
が結果です!食べ物(だけじゃなくて水も空気も関連してるとは思いますが)により健康にもダイレクトな影響をひしひし感じてます!天城湯ヶ島での暮らしは半分が終わり、夏から冬を経験しました。次の冬から夏も楽しみです!また報告できる日をお待ちください✨
投稿者プロフィール
-
「すべての人に、ふるさとを。」
東京生まれ、東京育ち。楽天に入社し後半の5年間は「楽天トラベル」に所属。伊豆を担当した中でも「天城湯ヶ島」というエリアに恋をした人。東京からの移住に取り組むこと半年、伊豆市地域おこし協力隊に合格。そして7か月目ついに移住できる古民家に出会いました。天城湯ヶ島への想いと古民家プロジェクトを中心に綴ります。
最新の投稿
- お知らせ2024.04.05「伊豆のゆずこしょう」がさとやまつくる株式会社から販売されました!
- 天城湯ヶ島2024.03.25日々是湯ヶ島 写真展 を開催しました。2024/3/20-24
- お知らせ2024.03.01「日々是湯ヶ島」という写真展を開催するのです。2024年3月20日~24日
- 地域おこし協力隊2024.02.16三島社会教育委員研修会で講演してきました。2024/1/17