伊豆天城湯ヶ島移住までの道のり2<家が見つからないのよ編>

この記事は前回の「伊豆天城湯ヶ島移住までの道のり<大好きな会社やめる編>」の続きです。前回の記事をまだ読んでいない方は流れがわかりやすいと思いますので是非読んでみてください!

会社を辞めることだけを決めたさとあや。家もない。仕事もない。貯金もたいしてない。手を付けない貯金はある。だが、それはあくまで絶対に手をつけないのだ、今は。だから「ある」なんて思っちゃいけない。貯金は、つまり、ない。笑

会社を辞めるまであと1か月。物件探しスタート。

時は2020年11月某日。辞めることを決めたさとあやは辞める実感がないままいつも通り仕事をしていた。この時さとあやは完全に移住をなめていた。都内の引っ越しの感覚でいた。

品川区の6年間住んできた家は、ラッキーもあるけど家を探した初日に見つかった。家賃も間取りも場所もばっちりだったので、そのイメージがこびりついていた。ええ、あほでした。あほでした。今だからわかることです。

というわけでなめていたさとあやは、深夜に帰宅すると「SUUMO」や「at-home」などの都内と同じ検索に走るのです。さとあやの恋する天城湯ヶ島地区は「静岡県伊豆市」にあたります。ですのでもちろん住宅検索サイトにて「伊豆市」にチェックして探すのです。

素敵な物件がたくさん出てきます。「ここもいいなぁ」「あそこもいいなぁ」ってな感じで完全に都内と同等モードの検索です。お気に入り物件にたくさんの☑がついてゆきます。

最初にチェックをつけていた物件は、「え?これ都内でしょ」という、全くもって普通のやつです。「大東建託」とか「レオパレス」とか。伊豆にもたくさんあるんです。物件探しって、距離感とか駅とか詳しくなりますよね。相場を調べていくと、極端に家賃が安い駅などがわかってきます。逆に言えば高い駅も。

そうこうしていると、「ここら辺が自分の家賃相場だな」と様々な範囲(駅とか家賃)が決まってきます。決まったとはいえ、結局はWEBでただ閲覧している状況なので全く実感のない家探しです。これではどうしようもないので、実際に2軒見せてもらおうと伊豆に赴きました。

実際に見た物件の1つは伊豆市、もう1つはお隣の市の伊豆の国市でした。(※この時さとあやに「地域おこし協力隊になる!」という考えは皆無でした。)2軒とも確か3LDK。1階に入り口があり住居は2階。クーラーがついていて、歩いてすぐコンビニがある、もう都内とほんと変わらない。ちょっと首を曲げたら山があるところと駐車場が広いところが違いである。

物件を見ながら口では「あ、いいですねぇ」と言っているが、何だか違和感がぬぐえない。2軒とも違和感が…。

物件を見たうえでの違和感は何なのか?

この時まだあまり声になっていないので探りながら違和感と向き合いました。

  • 天城湯ヶ島が好き。近くに住んで車で行ければいいか。
  • 虫が嫌い。だから都内と同じような物件に住みたい。
  • 都内と同じ家賃で広いところにランクアップしよう。

こんな感じの考えがあったのですが、この自分自身の考えに透明に近い嫌悪感がありました。それによって力を奪われていました。嫌悪感とさらに向き合いました。

  • 天城湯ヶ島が好きとか言ってるのに、そこ以外に住むつもり?
  • 天城湯ヶ島が好きとか言ってるのに、虫嫌いとか言い続けるつもり?
  • 広いところ?何のために?そんな広さいらないでしょう?

これでは何だか気持ちいいところだけとって逃げたような、そんな感覚に自分が陥ってしまったのです。それが違和感でした。

本当はどこに、どんな風に、何で、住みたいの?

この質問は結構直面的でした。すごく葛藤がありました。

例えば

  • 「古民家に住みたい」けど「虫は嫌だから新しい家に住みたい」
  • 「狭めの家に住みたい」けど「ゆったりとした空間が欲しい」

のような「あほなの?」という対極的な回答がいくつも出てきました。ほんとないものねだりだなと思ったものです!

で、どう考えても全部が叶う家はありません。ですので選択する必要がありました。向き合って出した答えは

「天城湯ヶ島」で「古民家みたいな家」

に住みたい。

そして何で住みたいの?

に関しての答えは

私にふるさとを作ってくれた天城湯ヶ島に何かおかえししたい。

日本のいいところが詰まった天城湯ヶ島で、何もできない「移住のアマチュア最低ランク」のさとあやが何かをすることが重要なんだ。

方向性が決まり、お家を探す旅が本格的に始まりました。そう、この時まだナメていました。12月に会社を辞めて、2021年1月には天城湯ヶ島で生活できているつもりだったのです。

お家がみつかりますように!!!!!!!

ついに会社を退職する。が家は見つか…らない!

ついに退職。年末年始を超え、さて、家はもちろん、まだ、ない。

私は幸運にも楽天トラベルの時からの繋がりが天城湯ヶ島地区にあったので、仲間内のLINEで「家がないのです助けてください」と発信しました。(相談する相手が現地にたくさんいるのは本当に大事なこと。仲間が誰もいない中での移住は今や想像つかない…) すると近所の集まりがあるから顔を出しにおいでと声をかけてくださいました。その名も「地域づくり協議会」です。冒頭の数分を頂いて自己紹介と、天城湯ヶ島を愛していることと、会社を辞めたこと、そして家を見つけたい旨をお伝えしました。

すごい熱量で。

会議は

し――――――――――――――――ん

としていて、さとあやの猪突猛進ぶりで空間は壊れてしまった音がした。爆

やっちまったのか?と思っていると…

「あ、俺、一軒知ってるよ」

と速攻で電話をしに廊下に出て行ってくれました。え?!

「明日見に行けるって、どうする?」

「は…早い…!!!!!!ありがとうございます!!」

もちろん見に行くことにしました!場所は天城湯ヶ島の中でも結構はじっこ。草木が茂り山の中に入って行くぞ~って感じの山の入り口エリアでした。仲間たち5人でレッツゴー。がしかし。

うおおおお・・・・・。
庭の草木が茂りすぎて家の全貌が見えない…!!!

ここに住んでいたおじいちゃんとおばあちゃんが亡くなって1年半くらい経っているとのこと。ご子息はもうこの土地にいないので勝手に見てくれということだった。

中はほこりとカビがすごくて、靴で失礼した。

あぁ…まるで今にでもおじいちゃんおばあちゃんが帰ってきそうな生活感!!

洗濯物も干しっぱなしで布団も敷きっぱなしである。きっと急に倒れたりしたのでそのままなのだろう…。だからかび臭さだけではなく人の気配がするのであった。部屋は確か4部屋くらい。そして納屋とか作業場がある。さすが農家。

家賃は1万円でいいということであった…。が…。

  • お隣が200メートル先
  • あまりに遺品が多い…涙

この2つは一応女子の私には厳しかった。&きっと見つかるであろうということで、この物件は手放しました。(この後すぐにこのお家は借り手が見つかり、今人が住んでいます🎵住んでいる方は男性です。やはりー。よかった!!)

さて、この後色んな方がさとあやに家を紹介したり、探してくれようとします。

多分のべ20人位の方が情報を寄せたり実際に動いてくださいました。ありがとうございました。

ですが…実際に家を契約させてくださいという話になってくると「やっぱり借すのは」と方向転換が起きます。

  • 半年に一回息子が帰ってくる
  • 片付けていないので恥ずかしい(めんどくさい)
  • 貸すに値しない家なので…
  • やっぱり別のことにに使うことにするのでごめんなさい
  • 知らない人に貸すのは(と人づてでNOが来る)

不動産屋さんを挟んで借りることが当たり前だった私にとっては、何だか別の世界だということがわかってきます。不動産屋さんがいないということは、家を人に貸して「お金になる」と思っていないということ。貸すことすら考えたことがないところから、いきなり外の人がやってきて家を貸してくださいというのです。「ちょっと貸してもいいかな」って思っても、その次には「手続きは?」「何かあったら?」「めんどい!」などなどご不安が起きることでしょう。

前途多難だ!ふがーーーーー!!!🐗

家探し4か月…そして…地域おこし協力隊!!

SNSで家がないということを発信しつつ・・・。伊豆市の佐藤副市長や、静岡県議会議員のいたみさんなどにも色々とclubhouse上でご相談しつつ・・・。

経済も何とかせなあかんという時、伊豆市(天城湯ヶ島がある場所)が「地域おこし協力隊」募集し始めました。地域おこし協力隊は毎年農業従者枠の募集が続いていましたが2021年度の募集は違いました!

「伊豆市で、挑戦しよう。」

はい!します!させてください!
お願いします!(懇願)

↓落ち着け。さて、これが2021年の募集要項。

2021年の募集枠は2つ!!「地域振興業務」という農業従事者枠以外の枠がありますが、伊豆市としては初めての枠です。もう一つの枠の「和紙製品制作業務」というのも魅力的ですが、「地域振興業務」に応募することにしました。※このことはまた別の機会に。

応募を決めつつももちろん並行で家探しに天城湯ヶ島へ足繁く通う。

そしてめっちゃ端折りますが、

あれから2か月弱。選考を経て6月、地域おこし協力隊の内定を頂きました!

パチパチパチパチ!!!!!!!!

だけど・・・だけど・・・

地域おこし協力隊になる

のに

家は、ない。爆

仲間たちは、時に弱気になる私よりも強く支えてくれます。地域おこし協力隊の内定が出る前から何度か「天城湯ヶ島をあきらめて近くの土地にしようか」
「古民家をあきらめて普通の賃貸にしようか」
「そもそも移住自体も…?」

なんてヨワヨワな考えがよぎります。

だけどそのたびに仲間たちは

「さとあやがあきらめてどうすんだ!」

「さとあやが出来なかったら誰が天城湯ヶ島に住めるんだ!」

「天城湯ヶ島に住むんでしょ!」

「絶対大丈夫!!」

仲間って本当にありがたい…🐗💧涙

気を取り直して、きょろきょろ🐗 さとあやのお家はどこかな…。

出会いは突然にやってくる。

地域おこし協力隊ですが、最短で就任が9月1日ということでした。それはつまり、家を急いで探さねばならないということ。最悪家が見つからなければ9月就任も後ろ倒しになるのではと思いました。もしくは天城湯ヶ島ではない別の土地に住む、この2択が迫ってきました。

そんなある日、天城の仲間のLINEに一つの連絡がありました。

「さとあやさん、地域おこし協力隊合格おめでとうございます。住居の件、お決まりになりましたか?ご希望合えば天城に空き家がありましたのでお知らせします」

ううおおおお!!!!

と思ったけど、ドードー、落ち着けさとあや。

ここは冷静になるんだ。盛り上がってはならん!

もうここまでのハートブレイク💔💔💔💔💔を考えると期待してはいけない!嬉しいけど期待は禁物なのだ。お相手とこちらの都合で、ちょっと先の6月末にお家を見に行くことになりました。この間はそわそわ東京生活です。

続きは次回!「ついに運命のお家と出会いましたの巻」です!

投稿者プロフィール

さとあや
さとあや
「すべての人に、ふるさとを。」
東京生まれ、東京育ち。楽天に入社し後半の5年間は「楽天トラベル」に所属。伊豆を担当した中でも「天城湯ヶ島」というエリアに恋をした人。東京からの移住に取り組むこと半年、伊豆市地域おこし協力隊に合格。そして7か月目ついに移住できる古民家に出会いました。天城湯ヶ島への想いと古民家プロジェクトを中心に綴ります。